IT企業に未来はあるのか?

はしくれが若いころ、IT企業は
・メーカー系
・ユーザー系
・独立系
の三つに分類されていました。

メーカー系は、例えばIBM富士通のようにハードウェアを作り、またソフトウェアも作る会社のことですね。また、ユーザー系は○○銀行システムや○○食品テクノロジーのようにハード供給を受けている側、いわゆる事業会社の子会社でシステム構築を担う会社です。そして独立系は、この何れにも属していない会社の事です。

今でも「独立系の」とコピーを作っている会社もありますが、正直…「20世紀かよ」と言いたくなる思いです。このような分類、ある種の意味はあると思いますが、もう少し私風の分類をしようと思います。

・ネット事業系
・ゼネコン系
・パッケージ・SaaS
・SES系

で如何でしょう?

ネット事業系には、ゲームやコンテンツ作成なども含みます。立ち上げ参入の障壁が小さく、最終形態は「AMAZON」でしょう。ビジネスの中心にITの活用があり、アイデアと商機、運によって爆発的な成長が望めます。この分野は決済方法の多様化なども手伝って、今後の核となり得る一方、日本以外の企業のプレッシャーも強く、リスクも高い分野でしょう。

ゼネコン系の多くは、以前はメーカー系が担っていたのですが、商社などチャネルセールスを得意としていた企業も同列に並んでいる分野です。現状、IT業界のコアを形成しています。が、以前にも書いたCMOなど業務部門の決定力が強くなるにつれ、顧客とのパワーバランスが弱い方向だと考えています。その最たる理由が建築ゼネコンとは違い、同業者団体があるわけでもなく、かつ重厚長大なプロジェクトの中でプロパーとは言っても一部を除いて専門的なスキル養成が出来なくなってきているからです。ただ、多重下請構造と要員集約型の産業構造がある限りはプライドを保てるとは思います。

パッケージ・SaaS系は、今の日本で国際競争力が一番弱い分野だと思います。ゲーム・コンテンツをここから外しているため、余計に弱いのですね。ただ、本当は日本人が一番強くなれる分野だと思っています。その理由は品質基準です。無駄な工数を削減しながら、高品質なサービスを提供できれば、生き残る可能性が強いはずなのです。ネット事業よりは数倍の人が掛かりますが(だってネット事業は一人でも出来ますからね)、既に少人数でIPOをしている企業も多いのです。ただ、その多くが「日本仕様」に留まっており、中々、海外に打って出る事ができない商材なのが辛いところです。その壁を壊す事ができれば、未来は…。

・SES系は、派遣業との差別化を明確化できなければ先は無いでしょう。ゼネコン系も徐々に体力を落としてきている会社も増えていますが、その体力の減退に合わせて派遣単価を上げられなくなります。この事で優秀な学生の採用機会も減っていく状況となりますから、オフショア同様に安かろう悪かろうと言う図式が出来上がり兼ねないのです。外資にいた頃を含め、SES中心の会社ともお付き合いはありますが、何れも新事業を目指されていながら「マーケティングができない」「要件定義ができない」と言う商流・開発のいずれの場面でも上流工程に大きな欠陥があります。また、その欠陥を押さえ込むように雇用をしても、商材が充分にないためマーケティング活動が充分に行えていません。特にゼネコン系の下請が中核となっているような場合には、相当、厳しいと思います。