面白い会社

面白い会社

だいぶ前から注目している小さなIT企業があります。評価は色々あるようですが、ビジネスとして成立している事は事実だけでも私は凄いと思っています。(お断り無く書いておりますので、もし当該社の方からの削除や修正の要請があれば、お問い合わせください)

ブレイズ・コンサルティング
この会社は「BRMSの専門集団」と宣言している通り、創業以来、BRMSを対象に販売、導入、保守をしてきている会社です。海外製のBRMSを取り扱っています。

社長をされている酒匂さんとは面識もありませんが、BRMSと比較的近い畑にいたせいで、お名前は随分前から存じ上げております。彼がカントリーマネージャーをやっていたFICO…、当時はFiarIaaCで取り扱っているBlazeAdvisorは、当時のスコアリング、あるいはルールエンジンと呼ばれた時代にフラッグシップ的な立ち位置だったと記憶しています。その後、FICOを離れて、独立後されて立ち上げた会社に「Blazeコンサルティング」と名づけられた時には、少し生々しい感覚を覚えたものです(笑)。
さて、その後、同社が或る意味でユニークな立場と思ったのが、取り扱い製品にCorticonを選んだところからです。恐らく2003年ぐらいではなかったでしょうか。まだカナダでもスタートアップに近いCorticonの製品は、エクセル的な入力で論理(ルール)を構築するという、かなりドラスティックなインターフェイスを提供していました。その後のルールエンジンの草分けとも言っていいでしょう。当時、他のルールエンジンではJavaなどでの作りこみが当然視されているところに「ビジネスユーザーが即座にルールを変更できる」と言うアプローチはとても新鮮でした。そんな製品に目をつけて、日本で展開したのがブレイズコンサルティングだったと記憶しています。
そして、そのCorticonを引っさげてルールエンジンの主戦場だった金融、特に生保業界に売り込み、Corticonと言う名前が一般に浸透するまでにしたのですから、凄い業績だと思います。
しかし、このように順調に行くかと思っていたところで…CorticonがProgress Softwareに買収されます。数年前はSonic Softwareの名前で知られていたProgressですが、競合的な立場のIONA社と合併したりと、精力的に拡大政策を進めている中での出来事でした。
はしくれが端から見ていた感じでは「知見はブレイズ、製品はプログレ…。複雑すぎる…。」と懸念したところで、2012年、プログレス本社がCorticonを除くぼぼ全ての製品ラインアップを他社に売却してしまします。これはびっくりでした。それまで拡大一辺倒だった会社が、一気に勝手に縮小していくのですから。更に更にです。今度はアシスト社がProgress Softwareとの提携を強め、2013年にCorticonの販売を開始します。「知見はブレイズ、製品はプログレ、んで市場展開力はアシスト…」更に複雑な状況に入ります。

普通ならですね…。このような状況になると、中堅以上のSIerなら製品というよりBRMSからの撤退と言う選択をしていたと思うのです。小さいところだと、業態すら変える…SESに走るような場面だと思うのです。何故なら、ある時点までは「これが一番」と言っていた製品が、舞い散る花びらのように、捉えどころがなくなった状態ですからね。実際、SIerが外部製品と提携、いわゆる「担ぐ」ことを検討する場面で、必ず話題に上がるのは「財務」状況です。言い換えると「買収される可能性」ですね。買収されてしまうと、どんなに製品が良くても代理店SIerにはコントロール不可能な状態になります。買収が起きた時点で、実質、「担いだ」製品を肩から降ろしてしまうことは少なくありません。
「折角、人やスキルを作り上げたんだから、別製品に乗り換えれば?」
いや、これが中々、難しいんですね。まず、「製品Aが最高です」と言っていた口が、別の日には「製品Bの方が良い」とは、中々言えません。また、人間やスキルも(キャラクタによりますが)知見の横展開ができずに、ほぼスクラッチからのトレーニングが必要な場合もある。更に、商流サポート契約などで乗換え後も、旧製品の面倒は見なければならないこともある。
こういった手間=コストを考えると、サポート契約が終了した段階で「完全終了」になるように、段階的な幕引きに入る事が通常なのです。

ところが、ブレイズコンサルティングは、やったんですねぇ。乗換えを。FICO ⇒ Corticon ⇒ 「Sparkling Logic SMARTS」。

凄いと思います。本当に、色々な言葉や思いを書きたいんですが、左の一言で纏めてしまうのが一番、良いかと。

そして、この事はSES会社で特にSES業務に満足していない方に知って頂きたいのです。
・少人数でも市場やグローバル企業を動かす力を持てる
・継続と柔軟さで大波を乗り越える事ができる

「小さいからできる」ではなく、「小さくてもできる」だと思うのです。